【初心者必見】D2Cの基本から将来性まで分かりやすく徹底解説!

「D2Cって言葉を最近聞くけど、どういう仕組みなの?」
「似たような言葉のB2BやB2Cとは何が違うの?」
そのような疑問を持つ人に向けて、今回の記事では
- D2Cとは何か?基本から将来性まで解説
- D2Cビジネスモデルのメリット・デメリット
- D2Cが抱える課題や問題点の紹介
- D2Cを成功に近づけるための3つのヒント
をそれぞれ具体的に紹介していきますので参考にしてください。
目次
D2Cの仕組みと基本から具体的に解説
そもそもD2Cとは具体的に今までのビジネスモデルと何が違うのでしょうか。
- D2Cとはどんな仕組みでどういうビジネスモデルなのか
- D2CはB2CとB2Bと比べて何が違うのか
- D2Cの市場規模が大きくなっている背景や将来性
- D2Cのターゲット層は?
など、気になるポイントをそれぞれ具体的に解説しています。

D2Cとは?似ている言葉のB2C・B2Bとはどこが違うの?
D2C(DtoC)とは「Direct to consumer」の略称で、メーカーや企業が自社商品をECサイト上などで直接消費者に販売するビジネスモデルを指します。コンビニやスーパーに代表される従来のBtoC(Business to Consumer)のモデルでは、小売店や卸売りなどの販売業務をメインとする仲介業者をはさんでいましたが、D2Cのビジネスモデルは自社で運用しているSNSツールや自社ECサイトを通して、自社商材を直接消費者(Consumer)に販売する仕組みになっています。
なお、D2Cと似たような言葉にB2B(Business to Business)がありますが、B2Bは企業間取引を指しています。
2025年には3兆円規模になる国内D2C市場規模
国内のD2C市場規模は2020年に2兆2200億円(前年比9%増)に達し、2025年には3兆円規模になると予想されています。インターネットを利用した自社サイトによる販売モデルは、コロナ禍になったことでさらに勢いづくことが予想できます。
では、世界のD2C市場規模はどうでしょうか。米国を例に見ていきましょう。
米国の市場調査会社によると、2021年の米国におけるD2C市場規模は約1290億ドル(日本円で約15兆6000億円)になります。さらに2022年は1510億ドル(日本円で約18兆1200億円)と予想されており、日本国内市場の7~8倍程度の規模を誇ります。
米国に比べ、日本のD2C市場規模はまだまだ小さいと言えますね。だからこそ今後の成長を期待できると言えます。
D2C市場がこれほどまでに成長している背景とは?
D2C市場が成長している背景として挙げられるのが、
- オンラインショップを開設するための周辺環境のインフラ整備
- SNSサービスの急速な普及
- 2020年の国内商取引におけるEC化率が約10%弱という伸びしろの大きさ
これらの要素が大きいと言えます。今まではショッピングモールやポータルサイトに掲載してもらうためにそれなりのコスト(中間マージン)を払う必要がありました。しかし、最近では企業向けのECサイト構築サービスも出てきており、D2Cモデルに切り替えるためのインフラ環境が整ったおかげで新規参入するためのハードルが下がってきています。
さきほど理由として挙げた中でも、日本国内の物販取引でECサイトなどを通して販売された割合を表す「EC化率」はまだ10%未満と低く、今後もオンライン市場の拡大とともにどんどん伸びていくことが期待できます。
2020年から始まったコロナ社会によって「ステイホーム」が当たり前となった生活スタイルは、オンラインショッピングの便利さを知った人からしたら、コロナが終わっても変えることはないでしょう。
D2C市場のターゲットは20代前半から30代後半の「ミレニアル世代」

D2C市場でメインとされるターゲット層は「ミレニアル世代」と言われています。ミレニアル世代とは1981年以降に生まれ、2000年代以降に成人を迎えた世代を指します。この世代の人たちは学生時代からスマートフォンなどを使いこなし、フェイスブックやインスタグラムなどのSNSサービスに慣れ親しんだ世代です。
ミレニアル世代の人たちは一般的に
- 情報リテラシーが高い
- 物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める
- 仲間とのつながりを大事にする
- より社会貢献性の高い仕事に興味がある
と言われています。
特に消費行動においてはスマートフォンを使いこなしながら、SNSサービスなどのインフルエンサー(インターネット上で強い影響力を持つ個人)の影響を強く受けるデジタルネイティブ世代になっているので、D2C市場でたたかうのなら、個人のインフルエンサーを活用しながら、メーカーが自ら発信するSNS運用は必須だと言えます。
従来のB2Cモデルで主流だった通信販売やAmazonなどのEC販売と何が違うのか?
消費者に直接商品を届けると聞くと、従来のB2Cモデルである通信販売やEC販売と何が違うのかと疑問を持つ人もいるかと思います。D2CとB2Cの一番の違いは、生産者が自ら「消費者に直接販売するかどうか」です。
例えば、普段からよく利用している人も多い「Amazon」や「楽天ショップ」は販売する場所を提供しているだけで、モノを作っているメーカーの機能を持ちませんよね。
※Amazonと楽天の一部のサービスは自社ブランドのため、メーカー機能があります。
つまり、B2Cは厳密に言えばB2B2C(企業→企業→消費者)にも言い換えられます。
一方で、D2Cは販売をメインとする卸業者や商社を経由することなく、メーカーが自社ECサイトを構築することで直接消費者に対してアプローチをかけます。
D2Cブランドの将来性は?カギは「SNSサービスの普及と消費行動の変化」
D2C市場規模でも紹介した通り、ECを筆頭にオンライン販売を中心にしたD2C市場は今後も成長していくでしょう。コロナが長引けば長引くほど、人は家の中にいながらオンラインで買い物をするようになり、ミレニアル世代以降にとって、オンラインは切っても切り離せない関係になっていきます。また、商取引におけるEC化率の低さを見ても、今後の成長を期待できるでしょう。
D2Cブランドにするメリット・デメリットは?
メーカーがD2Cモデルにかじを切ることで、どのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。
ここではメーカーと消費者の立場からメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。
メーカーから見るD2Cモデルのメリット「顧客と直接コミュニケーションを取れる」
メーカーがD2Cブランドを立ち上げるメリットはどこにあるのでしょうか。D2Cは先ほども紹介した通り、商品を直接消費者に販売するビジネスモデルです。今までのビジネスモデルであれば、卸業者などの販売業者が商品PRや拡販方法を考えればよかったのですが、D2Cモデルの場合、市場マーケーティング含めてすべて自社で対応しなければいけなくなります。
ただ、直接消費者とつながりを持つことで消費者のニーズを吸い上げられるメリットがあります。消費者の声を取り入れることで、商品開発にも活かせるし、消費者のニーズやシーズが理解できるのです。消費者のニーズ・シーズへの理解が深まれば、そのノウハウを自社に落とし込むことにより、さらにヒット性のある商品開発ができるようになります。
D2Cモデルにすることで、消費者の声をダイレクトに取り入れられることが最大のメリットだといえます。
消費者から見るD2Cのメリット「低価格化」
では、消費者の目線でD2Cのメリットを見てみるとどうでしょうか。

まず考えられるのは「商社や販売会社を通さないことで、ほかよりも安い価格で商品を買えること」が挙げられます。よく「メーカー直販価格」という言葉を目にする人もいると思いますが、一般的に商品の流通価格は上流(メーカー)にいけばいくほど安くなります。メーカーはB2Cでは当たり前だった商社や販売業者を省くことで、いままで取られていた利益を直接消費者に還元できます。さらに販売経路がオンライン上であれば、配送・管理コストを削減できるので、ほかの店舗よりも安く販売できます。
したがって、D2Cブランド(メーカー)商品にすることで、消費者はより安く気に入った商品を買えるようになります。
メーカーから見るD2Cの3つのデメリット
つづいて、D2Cブランドメーカーの立場としてデメリットを見ていきましょう。具体的には
- 商品開発力が求められる
- 商品を流通させるためのコストがかかる
- 軌道に乗るまでに時間がかかる
ことが挙げられます。まず、自社商品に魅力がなければ売れませんね。また、マーケティングやSNSサービスの運用、ECサイトの構築やPRのための広告費など、いままでは販売会社が負担していた費用も発生します。ノウハウがない分、軌道に乗せるまでに予想していたよりも時間がかかるかもしれません。
D2Cモデルに切り替えることで成功している企業もたくさんありますが、失敗している企業も同じようにたくさんあるでしょう。商品や業種によってはいままでのようにB2Cモデルのほうが適している場合もあります。どの商品でどこの市場・ターゲットに参入するのか、じっくり検討する必要がありそうです。
D2Cビジネスモデルが抱える課題とは?
いままで販売に力を入れてこなかった企業にとって、D2Cへの取り組みの中で考えられる最大の課題は「そもそも何をすればいいかわからない」ことではないでしょうか。D2Cビジネスはこれまで紹介してきたように、ただ単に自社ECサイトを立ち上げて商品を並べればいいという単純な話ではありません。販売やPRするためのノウハウがない状態ではじめても、うまくいかないでしょう。
では、この課題に対してどのようにアプローチしていけばいいのでしょうか。
何から始めればいいかわからないメーカーにとって参考になるのは、過去の成功事例を見ることです。
- ほかの企業がどのような手段でD2Cブランドを築き上げたのか
- どんな課題に直面し、どのような方法で解決に導いたのか
- どのような方法で消費者に認知されるようになったのか
D2Cブランドとして成功しているメーカーが歩んできた過程を知ることで、思ってもいなかったヒントを得られるかもしれません。以下の記事でD2Cブランドで成功した国内企業と海外企業を紹介していますので参考にしてください。
D2Cブランドで成功した日本企業10選+海外企業4選を一挙紹介
D2Cを成功させる3つのポイント
D2Cブランドに興味を持ってきましたか?
よし、私たちもD2Cに取り組もう!
そう考える前に少しだけ待ってください。
D2Cを成功させるためにはこれまで紹介してきた通り、いくつもの超えなければいけない壁があります。
ここではD2Cを成功させるための3つのポイントを紹介していきます。

競合他社と差別化できる商品企画・開発力
まずは自社が扱っているサービスや商品が消費者に受け入れられる必要があります。そのためにはメーカーに他社と差別化できる商品企画・開発力が備わっていなければいけません。どこにでもあるようなサービス・商品であれば、すぐに過当競争に飲み込まれてしまいます。
SNS・ブログの自社コンテンツで消費者を惹きつけるマーケティング力
つぎに商品を売る力です。B2BやB2Cばかりしてきたメーカーにとっては、商品を売るための方法(マーケティング力)がもっとも難しいかもしれません。特に最近の人たちは広告に見飽きている世代と言われています。生まれた時からCMなどを目にし、なかには広告とわかったとたんにWebサイトを閉じてしまう人もいるほどです。
そのため、最近では人の悩みを解決するノウハウや、人に教えたくなるタメになる情報をブログやSNSで発信し、その情報コンテンツによって集客する「コンテンツマーケティング」によるPR方法が注目されています。
一消費者の顧客生涯価値「LTV(Life Time Value)」を最大化させる
最近になって「LTV」という言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。LTVとは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと「顧客生涯価値」の意味になります。

簡単に言えば、「顧客生涯価値を高めることにより、企業への利益を最大化すること」を目的にします。一般的に、新規顧客を獲得するためのコストよりもリピーター顧客に2回目・3回目に買ってもらうコストのほうが低いと言われています。
例えば、ここ数年で急速に知名度を上げてきた「サブスクリプションサービス(サブスク)」はいい例と言えるでしょう。あなたもGoogleやAmazonのサブスクリプションサービスを利用していると思いますが、基本的に解約をしない限り生涯にわたってお金を払い続けることになります。さらに利用しているサービスを気に入れば、AmazonやGoogleの違う商品やサービスを利用するかもしれません。このようにして消費者の顧客生涯価値は上がっていくのです。
したがって、D2Cモデルを成功させる3つ目のポイントは「LTV(顧客生涯価値」の最大化だと言えます。
まとめ:D2Cのメリット・デメリットを把握し、計画的にマーケティング戦略を考えよう!
この記事ではD2Cの基本から将来性、D2Cが抱える問題やメリット・デメリットまで幅広く解説してきました。記事のポイントをあらためてまとめると
- D2Cとは「メーカーが消費者に直接販売するビジネスモデル」である
- D2C市場は今後も右肩上がりに成長していき、将来性も明るい
- D2C市場は20代前半から30代後半の「ミレニアル世代」がターゲット
- D2Cの最大のメリットは「消費者とのコミュニケーション」
- D2Cのデメリットは「商品開発力」「マーケティング力」「時間がかかる」
- D2Cで成功させるためには過去の成功例を学べ
- D2Cで成功するための3つのKW「商品力」「コンテンツ」「LTV」
ということでしたね。
D2Cを始めるためにはさまざまな課題があると思いますが、一方で得られるメリットも大きいでしょう。何から始めたらいいかわからない場合は、ほかの企業がどのようにD2Cブランドを立ち上げてきたのか、過去の事例を参考にするといいと思います。
以下の記事ではさまざまな業種のD2Cブランドを紹介しているので、ぜひとも参考にしてください。