中国輸入にかかる通関手数料とは?輸入代行の費用内訳も全解説

中国輸入ビジネスを始めるにあたり、多くの人がつまずきがちなのが費用の問題です。
中でも「通関手数料」は、具体的に何のための費用で、いくらかかるのかが分かりにくく、不安に感じる方も少なくありません。
この費用を正確に理解していないと、想定外の出費で利益が圧迫される可能性もあります。
この記事では、中国輸入初心者の方でも安心してビジネスを進められるよう、通関手数料の基本的な仕組みから相場、支払い方法までを徹底的に解説します。
さらに、輸入代行業者を利用した際の総費用の内訳も詳しくご説明し、コスト管理の精度を高めるお手伝いをいたします。
これから中国輸入ビジネスに取り組まれる方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

通関手数料とは?中国輸入初心者でもわかる仕組みと役割

通関手数料は、海外から商品を輸入する際に発生する経費の一つです。
しかし、なぜこの手数料を支払う必要があるのか、その具体的な役割を正確に理解している方は多くないかもしれません。
そこで、ここでは輸入ビジネスの根幹である「通関」という手続きそのものから解説を始めます。
通関とは何か?手続きの流れと概要
ポイント
通関とは、商品を海外から輸入したり、海外へ輸出したりする際に、税関から許可を得るための一連の法的手続きを指します。
具体的に、中国から商品を輸入する際の通関は、以下のような流れで進みます。
貨物の到着と保税地域への搬入
中国から船や飛行機で輸送された貨物は、まず日本の港や空港に到着します。
その後、輸入許可が下りるまで、税関の管轄下にある「保税地域」という特別な倉庫に一時的に保管されるのです。
輸入申告
輸入者、もしくは輸入者に代わって通関業者が、商品の品名、数量、価格、原産地といった詳細情報を記載した「輸入(納税)申告書」を作成し、税関に提出します。
税関による審査
税関は提出された申告書を基に、内容が正確か、法律で輸入が禁止・規制されている品物が含まれていないかなどを審査します。
検査(必要に応じて実施)
書類審査だけでは判断が難しい場合や、ランダムに選ばれた貨物は、実際に中身を開けて現物を確認する「検査」が行われることがあります。
関税・消費税の納付
審査や検査を経て問題がなければ、税関が算出した関税および消費税を納付します。
輸入許可
税金が納付されたことを確認後、税関から「輸入許可書」が交付されます。
この許可書をもって、商品を保税地域から引き取り、国内で販売・使用することが可能になるのです。
通関手数料が発生するタイミングと支払い方法
ポイント
通関手数料は、先ほど解説した一連の複雑な通関手続きを、「通関業者」に代行してもらった際に発生するサービス料です。
通関手数料が発生するタイミングは、通関業者が税関への輸入申告を完了させ、輸入許可が下りる見込みが立った時点です。
支払い方法とタイミングは、以下の通り、利用する国際輸送サービスによって異なります。
国際クーリエ便(DHL、FedExなど)を利用する場合
多くの場合、関税や消費税と合算された金額が記載された請求書が後日届き、銀行振込などで支払います。
荷物の配達時に、配達員へ直接現金で支払うケースもあります。
国際郵便(EMS)を利用する場合
課税対象となった場合、荷物を受け取る際に配達員へ「関税・消費税」と「通関手数料」を現金で支払うのが一般的です。
一般貨物(船便や航空貨物)を利用する場合
利用した通関業者から請求書が発行されます。
通常、関税、消費税、国内配送料など他の費用とまとめて請求され、指定された期日までに銀行振込で支払う流れとなります。
輸入代行業者を利用する場合
中国輸入で最も一般的なこのケースでは、輸入代行業者がこれらの費用を一時的に立て替えて支払ってくれます。
その後、商品代金や国際送料、その他の手数料と合わせて、利用者へ一括で請求する仕組みです。

通関手数料の請求先は誰?(通関業者・輸入代行業者との違い)
ポイント
通関手数料の請求元を理解するためには、「通関業者」と「輸入代行業者」の役割の違いを知ることが重要です。
どちらも輸入に関わる業者ですが、その業務範囲は以下の通り明確に異なります。
通関業者とは
通関業者は、輸出入者に代わって税関への申告手続きを専門に行うスペシャリストです。
彼らの主な業務は、輸入申告書の作成や税関検査の立ち会いといった、純粋な「通関手続きの代行」です。
DHLやFedExのような国際輸送会社は、自社内に通関部門を持つことで通関業者の役割も果たしています。
輸入代行業者とは
輸入代行業者は、中国の工場やECサイトとの価格交渉、商品の発注、現地での検品、国際発送の手配まで、輸入に関わる一連のプロセスを幅広く代行するサービスです。
通関手続きそのものは、提携している通関業者や利用する国際輸送会社に委託します。
通関業者と輸入代行業者の違い
この両者の違いを以下の表にまとめ、請求元を明確にしましたので、参考にしてください。
項目 | 通関業者 | 輸入代行業者 |
---|---|---|
主な業務 | 税関への申告手続き代行 | 商品の仕入れから国際発送までの一連の代行業務 |
手数料の内訳 | 通関手続きの代行手数料 | 仕入れ代行手数料、検品費、国際送料、通関手数料(立替分)など |
請求元 | 通関業者自身 | 輸入代行業者 |
中国輸入ビジネスを始める方の多くは輸入代行業者を利用するため、通関手数料は「輸入代行業者からの請求書に含まれる費用の一部」と認識しておけば問題ありません。
通関手数料の相場はいくら?輸入形態別に解説【2025年版】

通関手数料は、商品の輸入目的(個人利用か商用か)や申告内容、貨物の状況によって変動します。
正確な利益計算のためには、ご自身の輸入形態に合わせた手数料の相場を把握しておくことが不可欠です。
ここでは、個人輸入と法人輸入での手数料の違いや、申告する品目数による変動、さらには予期せぬトラブルで発生しうる追加費用について具体的に解説していきます。
個人輸入と法人輸入で異なる手数料
ポイント
通関手続きとそれに伴う手数料は、輸入の目的が「個人での使用」か「商業目的(販売など)」かによって、適用されるルールや相場が大きく異なります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
個人輸入の場合
個人が自分で使用する目的で商品を輸入することを指し、商品の海外小売価格に0.6を掛けた金額が課税価格となります。
この課税価格が1万円以下であれば、一部の商品(革製品やニット類など)を除き、関税と消費税が免除されるという大きなメリットがあります。
通関手数料の相場は、以下の通りです。
国際郵便 | 課税対象となった場合でも、通関手数料は一律200円 |
国際クーリエ便 | 課税価格が20万円以下の貨物は、手続きが簡素化された「簡易申告」が適用されることが多く、通関手数料は1,000円~3,000円程度が一般的 |
法人輸入(商業輸入)の場合
販売や事業での使用を目的として商品を輸入することで、個人輸入のような関税の優遇措置はなく、課税価格(商品代金+送料+保険料)の全額に対して関税・消費税が課されます。
課税価格が20万円を超える貨物は、より厳格な「一般申告(本申告)」が必要となり、手続きが複雑になるため手数料も高くなります。
一般的な通関手数料の相場は、1回の申告あたり5,000円~15,000円程度です。
多くの通関業者では、「基本の申告料(例: 11,800円)」に、申告する品目数に応じた「品目加算料」が上乗せされる料金体系を採用しています。
中国輸入をビジネスとして行う場合は、たとえ小規模であっても商業輸入に該当するため、コスト計算の際は法人輸入の相場を基準に資金計画を立てることが重要です。
輸入品目・HSコード別の手数料の目安
ポイント
通関手数料の基本料金は、多くの場合「1回の輸入申告あたり」で設定されているため、Tシャツと雑貨のように品目が違うだけで手数料が大きく変わることはありません。
しかし、申告内容の複雑さを左右する2つの要素、「品目数」と「法規制」によって手数料が加算されることがあります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
HSコードと品目数による加算
HSコードとは、あらゆる物品を世界共通のルールで分類するための番号で、税関はこのコードを基に関税率を判断します。
1回の輸入で多種多様な商品を仕入れると、申告書に記載すべきHSコードの数が増え、手続きが煩雑になります。
そのため、多くの通関業者は、基準となる品目数(例:5品目まで)を超えた分について、1品目あたり数百円の「品目加算料」を設定しています。
例えば、20種類の商品を一度に輸入すると、基本料金に加えて品目加算料が数千円上乗せされる可能性があるのです。
法規制対象品目による加算
輸入する商品によっては、関税法以外の法律(他法令)の規制対象となる場合があり、通常の輸入申告に加え、関係省庁への許認可の取得や、その証明を税関に提示する特別な手続きが必要です。
この追加業務に対して、通関業者は「他法令手続き手数料」といった名目で追加料金を請求することがあります。
他法令が関係する主な品目は、下表の通りです。
食品衛生法 | 食器、調理器具、乳幼児用のおもちゃなど |
薬機法 | 化粧品、石鹸、医療機器など |
電気用品安全法(PSE) | コンセントに接続して使用する家電製品、モバイルバッテリーなど |
これらの品目を扱う際は、通常の通関手数料に加えて、1法令あたり数千円の追加費用が発生する可能性を考慮しておく必要があります。
仕入れる商品の種類を絞ったり、規制の少ない商品から始めたりすることは、通関コストを抑える有効な戦略の一つです。
書類不備・検査対象で追加される可能性のある費用
ポイント
計画していた予算をオーバーする最も大きな要因が、予期せぬ追加費用の発生で、特に「書類の不備」と「税関検査」は、コスト増に直結する二大リスクといえます。
二大リスクのそれぞれを見ていきましょう。
書類不備による追加費用
インボイスやパッキングリストに記載された商品の価格、数量、品名などが不正確であったり、実際と異なっていると、申告内容を修正しなければなりません。
通関業者がこの修正作業を行った場合、「書類作成料」や「申告内容訂正料」として数千円の追加費用を請求されることがあります。
特に、関税を安くするために意図的に価格を低く記載する「アンダーバリュー」を税関に疑われた場合、ペナルティや追加費用が発生するリスクが高まります。
税関検査による追加費用
税関は、申告内容の真偽を確認するため、また不正薬物などの密輸を防ぐために、貨物の検査を行います。
この検査対象に選ばれると、輸入者の負担で以下のような様々な費用が発生します。
費用の種類 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
検査立会料 | 通関業者が税関職員の行う検査に立ち会うための費用 | 1時間あたり5,000円~20,000円程度 |
貨物移動料・作業料 | 保税倉庫から検査場へ貨物を移動させたり、開梱・再梱包したりする作業費用 | 数千円~数万円 |
デマレージ (超過保管料) | 検査が長引き、保税地域での無料保管期間を超過した場合の延滞料金 | コンテナのサイズや日数により数万円以上になることも |
これらの検査関連費用は、合計で数万円から十数万円に及ぶことも珍しくありません。
こうした予期せぬ出費を避けるためには、信頼できる仕入先や輸入代行業者を選び、常に正確な情報で申告を行うことが最も重要です。
通関手数料を含む輸入代行手数料の内訳

中国輸入で代行業者を利用する場合、最終的に請求される金額には、通関手数料以外にも様々な費用が含まれています。
ここでは、輸入代行業者に支払うことになる費用の内訳を一つひとつ丁寧に分解して解説しますので、ぜひ確認してください。
商品代金・仕入れ代行手数料
ポイント
輸入代行業者へ支払う総費用の中で、最も基本かつ大きなウェイトを占めるのが「商品代金」と、それを買い付けてもらうための「仕入れ代行手数料」です。
それぞれを解説します。
商品代金
これは、アリババやタオバオといった中国のECサイトや工場で販売されている商品そのものの価格です。
輸入代行業者は、この代金を「人民元」で立て替えて支払い、利用者に請求する際には、金融機関が公表するTTSレートに、業者の手数料が上乗せされているのが一般的です。
公式サイトなどで最新の為替レートを必ず確認しましょう。
仕入れ代行手数料
商品の発注や買い付けを代行してもらうためのサービス料です。
料金体系は業者によって様々ですが、主に以下の2パターンに大別されます。
商品代金に応じた料率制 | 「商品代金の〇%」という形で手数料が計算される、最も一般的なプランで、相場は商品代金の5%~10%程度 |
月額固定制 | 毎月決まった額の会費を支払うことで、仕入れ量にかかわらずサービスを利用できるプラン |
ご自身のビジネスの規模や仕入れの頻度に応じて、どちらのプランが最適かを見極めることが重要です。
検品費・梱包費・出荷手数料などのオプション料金

ポイント
商品の仕入代行という基本サービスに加え、オプションで品質の確保や業務の効率化を目的とした様々なオプションサービスが用意されています。
これらを賢く利用することでビジネスの価値を高められますが、同時に追加コストも発生します。
以下で主な内容を見ていきましょう。
検品費
中国から届いた商品に不良品や数量不足がないか、代行業者の倉庫でチェックしてもらうための費用です。
検品方法は、通常、以下の2種類が設定されていることが多く、それにより費用も異なります。
簡易検品 | 色やデザインが合っているかといった外観の簡単なチェックで、基本料金に含まれていることが多い |
詳細検品 | 衣類の縫製チェックや家電の動作確認など、より手間のかかる作業で、有料オプションとなるのが一般的 |
高単価な商品や不良率が高い商品を扱う場合、詳細検品は必須の投資と考えるべきです。
梱包費
複数の店舗からバラバラに届いた商品を一つの大きな箱に同梱し、国際輸送の衝撃に耐えられるよう頑丈に梱包し直す作業に対する費用です。
この作業には、商品の破損を防ぐ目的と、荷物の容積を最適化して国際送料を節約するという二つの重要な役割があります。
「段ボール1箱あたり〇〇円」という料金設定が一般的で、壊れやすい商品に対する緩衝材の追加や、防水のためのビニール包装は別途有料オプションとなることもあります。
出荷手数料
梱包が完了した荷物を倉庫から国際輸送業者へ引き渡すまでの一連の作業や事務手続きに対して発生する手数料です。
具体的には、インボイスや配送ラベルの作成・貼り付け、出庫データの管理、輸送業者への引き渡しといった業務が含まれます。
物流プロセスを円滑に進めるための手数料であり、業者によっては梱包費とセットで「梱包・出荷手数料」とされている場合もあります。
国際送料・関税・消費税を含めた総費用の目安
ポイント
仕入れの最終的な総費用を算出するためには、これまで見てきた費用に加え、「国際送料」「関税」「消費税」という3つのコストを計算に入れなければなりません。
それぞれのコストを以下で詳しく説明します。
国際送料
中国の代行業者倉庫から、日本の自宅や指定倉庫まで商品を輸送するための費用で、輸送手段や、荷物の「実重量」と「容積重量」の重い方に基づいて料金が決まります。
航空便はスピーディーですが高価、船便は時間はかかりますが安価という特徴があります。
多くの代行業者は輸送会社と大口契約を結んでいるため、個人で手配するよりも割安な料金で利用可能です。
関税
海外からの輸入品に対して課される税金で、国内の産業を保護する目的などがあります。
税率はHSコードによって商品ごとに細かく定められており、無税のものから、革靴のように10%を超える高い税率が設定されているものまで様々です。
商用輸入の場合の関税は、下記の計算式で求められます。
計算式: 関税額 = 課税価格(商品代金+送料+保険料) × 関税率
消費税
輸入品にも、国内で商品を購入するのと同様に消費税が課されます。
上記の関税を計算した後の金額に対して課税されるのがポイントです。
計算式: 消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 消費税率(10%)
尚、関税につきましては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
総費用の計算シミュレーションによる目安
これまで見てきた費用を考慮して、仕入れにかかる総費用の目安をシミュレーションしてみましょう。
以下に例を挙げますので、ご自身のケースを計算するときの参考にしてください。
シミュレーション事例
商品代金:200,000円
代行手数料(料率5%):10,000円
検品・梱包費:5,000円
国際送料:25,000円
関税率(仮に8%):(200,000円 + 25,000円) × 8% = 18,000円
消費税(10%):(225,000円 + 18,000円) × 10% = 24,300円
通関手数料(仮):11,800円
総費用合計 = 200,000 + 10,000 + 5,000 + 25,000 + 18,000 + 24,300 + 11,800 = 294,100円
このように、商品代金以外に約9.4万円もの費用が発生します。
これらのコストを全て洗い出し、正確に原価計算を行った上で販売価格を決めなければ、利益を確保することはできません。
中国輸入における仕入れコストの計算方法と弊社提供の便利な原価計算ツールを、下記記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参照ください。
まとめ
この記事では、中国輸入における「通関手数料」の仕組みから相場、そして輸入代行業者を利用した際の費用内訳までを網羅的に解説しました。
通関手数料は、複雑で専門的な通関手続きを代行してもらうために支払う必須のコストです。
正確なインボイスの準備を怠ったり、税関検査の対象になったりすると、予期せぬ追加費用が発生し、利益計画が大きく狂うリスクもあります。
中国輸入ビジネスを成功させる鍵は、全ての費用を事前に把握し、正確な原価計算を行うことです。
商品代金だけでなく、各種手数料、国際送料、関税、消費税を含めた総費用を算出し、その上で利益の出る販売価格を設定する。
この基本を徹底することが、継続的なビジネス成長へと繋がります。
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